「美咲ちゃんって、ほんとにそういうのをよく見てるよね。」 「そうかな?でも、雨の日って好きなんだよ。」 「なんで?」 「なんかね、雨が全部洗い流してくれる気がするから。」 「洗い流す……?」 「うん。嫌なこととか悲しいこととかも、全部どこかに流れていく気がして。」 美咲の言葉に、恭介は少し考え込んだ。 彼女が言う「悲しいこと」が何を指しているのか気になったが、無理に聞くことはできなかった。 「……でも、俺は美咲ちゃんが洗い流されるのは嫌だな。」