縁側を通り、小さな和室に案内された。 畳の香りがふわりと漂い、窓の外からは庭の木々が見える。 「ここが恭介くんの部屋になるよ。狭いけど、大丈夫?」 「いえ、全然。むしろ落ち着きそうでいいですね……。」 恭介は慣れない畳にそっと座りながら答えた。 都会のアパートとは全く違う静けさに、少し戸惑いを感じたものの、どこか安心感もあった。 美咲は少し遠慮がちな様子で、「それじゃあ、何か困ったことがあれば隣の部屋にいるから言ってね」とだけ言い残して部屋を出ていった。