「莉子さん、遅くなって申し訳ありません。只今帰りました。」
後ろから壮太郎さんの声が聞こえたが、わたしは振り返らなかった。
壮太郎さんはわたしの異変に気付いたのか、わたしを後ろから抱きしめてくると「莉子さん?どうしたんですか?」と言った。
「、、、嘘つき。」
「えっ?」
「お見合いして来たんでしょ?良かったわね。あんな綺麗なお嬢さんとお付き合い出来るんだから。壮太郎さんとお似合いよ。」
壮太郎さんはわたしの言葉に「写真を見たんですね。」と、寂しそうな口調で言うと、「莉子さん。違うんです。あれは、父に頼まれて仕方なく行っただけで、ちゃんとお断りしてきました。」と言った。
「嘘、、、。」
「嘘じゃありません。きちんと説明してから行くべきでしたね、、、。誤解をさせてしまったのは、僕の責任です。申し訳ありません。」
「、、、じゃあ、何でこんなに遅い時間に帰って来たの?ただのお見合いだけなら、こんなに帰りが遅くならないんじゃない?」
わたしがそう言うと、壮太郎さんは少し黙り込んでから「莉子さん、、、これから、全てのことをお話ししますから、自分を責めたりしないでくださいね?」と言った。
「わかった。」
「お見合いの話は、ずっと前からあったんです。でも断り続けてました。それでも、父が会うだけでもいいからと、しつこくて、、、。それでお相手の女性には失礼ですが、お断りする前提で会いに行ってきました。」
「しつこいのは、お父さん譲りだったのね。」
わたしがそう言うと、壮太郎さんは少し笑って、「そうかもしれませんね。」と言った。



