わたしは疲れ果て、壮太郎の腕に包まれながら壮太郎さんに抱きついた。
壮太郎さんの早い鼓動が響いて聞こえてくる。
「莉子さん、最近あまり煙草吸わなくなりましたよね。」
「煙草を吸いに行く体力が残ってないの。それに、元々好きで吸ってたわけじゃないから。」
「このまま禁煙出来そうですね。」
「そうね。」
そんな会話をし、わたしたちは笑った。
「あ、そうだ。莉子さん、明日なんですけど、僕は仕事が休みなんですが、ちょっと用事がありまして、、、帰り迎えに行けそうもないんです。」
「気にしないで?明日はタクシーで帰って来るから。」
「申し訳ありません。出来るだけ早めに帰って来ますので。」
そして、わたしは疲れからいつの間にか、壮太郎さんに包まれて眠りに落ちていた。
壮太郎さんの腕の中は、わたしにとって安心できる居場所になっていたのだ。
わたしが目が覚めた時には、既に隣に壮太郎さんは居なかった。
そういえば、今日は用事があるって言ってたもんなぁ。
そう思いながら、わたしはシルクのガウンを羽織りリビングへ向かった。
すると、リビングのテーブルの上に"出来るだけ早く帰ります。莉子さん、愛してますよ。"と壮太郎さんの綺麗な字で書き置きがあり、わたしはそれを読んで頬が緩んだ。
それから、キッチンにミネラルウォーターを取りに行こうとした時、対面キッチンのカウンターの上に白い1枚開きの台紙が置いてある事に気付いた。
何だろう?
わたしは何気なく、それに手を伸ばし、開いてみた。
「、、、えっ。」
その中には、黒髪の清楚な女性の写真が入っており、明らかにお見合い用の写真だと分かった。
壮太郎さんの今日の用事って、、、もしかして、、、
わたしは裏切られた気分になり、写真を閉じると、カウンターの上に戻し、しばらくの間、ソファーに座り込み、涙を流していた。



