逃げて行く野田さんを見送ると、諏訪さんはこちらを振り返り、「大丈夫ですか?」と言った。
「うん、大丈夫。ありがとう。」
「さぁ、帰りましょうか。」
そう言って、わたしの腰に手を添え、歩き出す野田さん。
風俗嬢のわたしを"僕の恋人です"とハッキリ言ってくれた諏訪さんに、正直わたしはドキッとしてしまった。
普通なら、彼女が風俗嬢だなんて恥ずかしくて言えない。
野田さんの言ってたことが一般的な反応なはず。
でも諏訪さんは違った。
わたしはつい、諏訪さんの腰に腕を回し、「ありがとう、諏訪さん。」と諏訪さんに寄りかかりながら歩いた。
「どうしたんですか?」
「庇ってくれたから。」
「僕は間違ったことは言っていませんし、大切な人を侮辱されて黙っていられるわけないじゃないですか。」
「でも、、、野田さんが言ったことは、本当だと思う。わたしは汚い風俗嬢で、風俗嬢が恋人だなんて普通恥ずかしく言えないじゃない。」
「莉子さんは汚くなんてありません。それに、莉子さんは僕の自慢恋人です。」
野田さんの言葉に傷付きはしなかった。
ただ、諏訪さんの言葉が嬉しかった。
気付けば、わたしは諏訪さんに心を動かされ始めていたのだった。



