わたしはそのあとも、何事もなかったように次から次へと来るお客の相手をし、22時に仕事を終えた。
着替えて外に出ると、いつも通り右側の道路に黒いクラウンが停まっているのが見えた。
諏訪さんはわたしのヒールの音に気付くと、いつものように運転席から降りて来て、助手席を開けてくれる。
そして、わたしが助手席に乗ってから、自分も運転席側に回り車に乗り込むのだ。
「今日もお疲れ様でした。」
「今日は、とうとうルール違反が出たの。」
わたしがそう言うと、諏訪さんの顔色が変わり、「えっ?」と険しい表情を浮かべた。
「それって、本番の話ですか?」
「そう。お断りしたんだけど、無理やりされて。そのあと店長を呼んで、そのお客さんは出禁にしてもらった。わたしもクビかなぁって思ったけど、わたしはそのままお店に残ってくれって頼まれて。」
わたしの言葉に黙り込む諏訪さん。
諏訪さんのハンドルを握る手には、力がこもっているように見えた。
「諏訪さん?」
「、、、その男、許せません。」
「毎回、最後までやらせてくれって言ってくる既婚者だったの。いつか、こうなるんじゃないかとは思ってたんだけどね。」
いつもクールな諏訪さんに微かに漂う怒りの雰囲気。
わたしたちは諏訪さん宅に帰ると、諏訪さんは玄関に入ってすぐにわたしのトレンチコートを脱がせ、靴を脱ぐと、わたしをお姫様抱っこして、そのままお風呂場へと向かった。



