刹那に触れる兎


「さぁ、そろそろ寝ましょう。今日もお疲れ様です。」
「仕事で疲れたってより、さっきの諏訪さんとのセックスでHP0になった。」

わたしがそう言うと、諏訪さんは「HP0ですか。」と笑い、わたしから煙草を取り上げると、ベランダに置いてあるスタンド式の灰皿の中に落とした。

そして、ヒョイと軽々わたしをお姫様抱っこすると、部屋の中に入り、寝室へ運んで広いベッドの真ん中あたりにわたしを寝かせた。

諏訪さんは一度寝室を出て行き、ベランダの扉を閉め、カーテンを閉めると戸締まりの確認をしてから、寝室に戻ってきた。

諏訪さんは、先に布団を被り寝る体勢に入っていたわたしの隣にきて密着すると、わたしを後ろから抱きしめ、「また明日抱きますからね。」と囁く。

「また明日も?」
「そりゃそうですよ。こんなに良い女が隣に寝ていて抱かない男はいません。」
「でも、既にあなたのムスコさんがわたしのお尻に当たっているんだけど。」
「2回戦目いきますか?」
「HP0だから無理。」
「そうでした。」

諏訪さんはわたしの首筋、そして肩にキスをすると、「莉子さん、おやすみなさい。」と言った。

「おやすみなさい。」

そうして、わたしは疲れからなのか、安心感からなのか、寝落ちるように眠った。

人に抱きしめられながら眠るなんて、いつぶりだろう。

諏訪さんは不思議な人だ。

こんなわたしを「愛してる」だなんて言うなんて、、、
でもわたしは、まだその言葉を信じられない。

いや、信じない。