刹那に触れる兎


「あ、この家って禁煙?」

ふと思い、諏訪さんに訊く。

「すみません、僕が煙草を吸わないもので。一応、灰皿はあるんですが。」
「じゃあ、吸う時は外で吸うわ。ここからなら、綺麗な景色を見ながら一服出来そう。」

わたしはそう言うと、煙草の箱をバッグにしまった。

すると、諏訪さんがワイングラス2つと赤ワインのボトルを持って来て、グラスをガラスのテーブルに置くと、赤ワインをグラスに注いでいった。

「どうぞ。」
「いい色。」

そうしてグラスを持ち、わたしたちは乾杯をすると、ワインを口に含む。

深みのある飲みやすい赤ワインで、葡萄の香りが口の中に広がった。

「美味しい。」
「気に入っていただけて良かった。」
「諏訪さんは、よくお酒飲むの?」
「たまに一人で。飲み会とは苦手なので、自宅で一人で飲むのが好きでしたが、こうしてレミさんと2人で飲めるなんて嬉しいです。」

そして、わたしたちは赤ワインのボトル1本を開けると、それぞれシャワーを浴び、わたしは先に寝室へと向かった。

諏訪さんの寝室には、ダブルベッド、、、いや、クイーンサイズのベッドが置いてあった。

こんな大きなベッドに一人で寝てるの?

そんなわけないよね。
やっぱり女を連れ込んでるんだろうなぁ。

そう思いながら、わたしは大きなクイーンサイズのベッドに寝そべった。