転校したらヤンキーに愛されまくった件

転校初日。とりあえず教室にはたどり着けたけど、とにかく私は目立ってた。

「なんで女が?」
「学校間違えたんじゃねーの?」
「キャハハ。アホすぎんだろ」


まるで初めて出会った生き物を見るような目で見られてる。


無理もないよね。
鳳仙創立50年の歴史で、私が女子生徒第一号なんだから。


私は黙って気配を消していたのに……


「……お前、名前は?」


「へ……?」


顔を上げると、私の席の前で学ランの袖をまくって仁王立ちしているヤンキーが1人。
他のクラスメイトと違って、髪色は暗いけど、全体的な雰囲気がTHEヤンキーって感じ。
目つき悪いし、態度でかいし、乱暴そう。
でもヤンキー素人の私でも、この人がめちゃめちゃ強いことは分かる。


「名前は?」


私、何かやらかしたかな⁉︎
まだ席に座って息してただけだけど!
まさか、俺の許可なしに息すんなとか言ってくる系⁉︎


「佐々木一花です……」


とにかくとことん下手に出るしかないと思って、とりあえず土下座をしてみた。


「すみません転校してきたばかりで何も分かってないんです!なんっでもやります!だからどうか命だけは……!お助けください」


多分このまま卒業まで私はパシリにされるんだ。
10秒で焼きそばパン買ってこいとか、そういう無理難題を押し付けられるんだ。
そう思ってたのに、全てハズレだった。