転校したらヤンキーに愛されまくった件

だけど最後1センチのところで、勇征が大きく動いた。
大我が勇征の胸ぐらを思いっきり掴んでいたからだ。


「テメェ……いい加減にしろよ。誰の女に手出してんだ」


「よく言うよ。一花はニセの嫁なんだから、俺たちのことを大我に指図される筋合いはないな」


大我の喧嘩っ早さは勇征だってよく分かってるはずなのに。
今日はやけに大我を煽るような言い方だ。


「あったまきた。廊下でろ勇征」


今の大我は本気で勇征のことを殴りかねない。
そもそも大我が怒っている理由が私には分からなくて、つい口を出してしまった。


「意味わかんない!自分には好きな人いるくせに、私はダメなの?ほんとワガママ!自己中!」


「だから、お前は人の話聞けよ!」


「やだよ!なんで私が大我の恋バナ聞かされなきゃいけないわけ⁉︎」


「はぁ⁉︎」


お互い引くに引けず大炎上の私たちを止めてくれたのは玲央だった。


「いい加減にしなよ。なんなの?バカなの?」


普段面倒ごとには首を突っ込もうとしない玲央に怒られたら、さすがに私たちも大人しくなった。


「勇征も勇征だよ。お前が大我のこと止めないでどーすんだよ」


「俺もう無理だわ」


「チッ……勝手にしろよ」


「ハァ……みんなガキすぎ」


大我と勇征と玲央はそれぞれそう言い残してバラバラに行ってしまった。


どうしよう……。
ただの喧嘩じゃなくて、決別みたいになってしまった。