転校したらヤンキーに愛されまくった件

「すごくお似合いだったんだよね」


「もしかしてその人、首のあたりに傷がなかった?」


「そういえば、そんなに気にならなかったけどあったような……勇征も知ってる人?」


「その人は……、やっぱなんでもない」


なんだ、勇征も知ってたんだ。
何か言いかけてたけど、それ以上は深く聞かなかった。
これ以上何が聞いたところで私には関係ないし。


「総代の嫁なんてさっさとやめればいいよ」


「そう、だよね……」


大我たち2人の間に割り込む気はない。
でも自分から離れる勇気もない。
総代の嫁じゃなくなったら、私は大我ともみんなとも無関係になってしまうから。


「俺なら一花にそんな顔はさせない」


ふと顔を上げると、少しずつ勇征の顔が近づいてきた。
あと10センチ、5センチ、3センチ。
離れなきゃ、逸らさなきゃと思うのに、体が言うことを聞いてくれない。