転校したらヤンキーに愛されまくった件

当たり前だけど、夏休みの海はすごい数の人で賑わっていた。
家族連れに友達同士、カップル。
男3人に女1人の私たちは、周りから一体どんな風に見えてるんだろう?


まさかこの3人が鳳仙の総代とその側近だとは誰も気づかないだろうけど。
でも3人からは、水着でもただならぬヤンキーオーラが滲み出ていた。


「あの赤髪の人カッコ良くない?」
「私は黒髪の人がいい!」
「金髪の人超綺麗な顔〜」


すれ違う女の人たちはみんな3人に釘付け。
鳳仙で女子は私だけだから、普段こんな風に注目を浴びることがなくて忘れていたけど、この3人は普通にカッコいいんだった。
それぞれ系統は違うけど。
しかも今日は、水着だから上半身は脱いでいる。
普段見ることのない割れた腹筋と締まった体に、私は1人で目のやり場に困った。


いい加減私も水着にならなきゃいけないんだけど……


大我に「可愛い」と言わせてやると意気込んで、わざわざ水着も買ったし、筋トレも頑張った。
でもいざ海に来ると、大我たちの前で水着になるのが急に恥ずかしくなってきた。


「一花も海入るんだよね?」


いつまでたっても服を着たままの私を見て勇征が笑った。


「も、もちろん!着替えてくる!」


「楽しみにしてるわ」


性格が悪そうな笑顔を向けてきた大我を睨んで、私は更衣室へ向かった。