転校したらヤンキーに愛されまくった件

「……おい」


声の方を向くと、そこにはいつのまにか川上が立っていた。


「川上……どうしたの?」


「どうしたのじゃねーだろ」


川上が私のほっぺを引っ張ってきた。


「いひゃいいひゃい!なにふんの!!」


「アイツらどうしたんだよ!一応お前の護衛なんだぞ?」


「それは、その……」


「俺がやったんだよ大我」


勇征は庇ってくれようとしたけど、悪いのは私だ。


「違う!私がわがまま言ったせいなの!勇征は悪くない!」


「一花が息抜きする時間も必要だと思ったんだ。勝手なことしてごめん」


「……文句があんならまず俺に言え。勇征のこと困らせんな。お前は一応総代の嫁なんだぞ」


「はい……ごめんなさい」


そうだよね。
私がどんなにタメ語でいいと言っても、みんな絶対に敬語を使う。
総代の嫁というのは、そういう立場なんだ。


「俺に言え……ねぇ」


「……なんだよ勇征」


「いーや?なんでもない」


勇征はなぜかまたニヤニヤしていた。


「……ほら、行くぞ」


「あ、ちょっと。勇征、またね!」


私は川上に手を引っ張られながら図書室を出た。