「おい!どこ行くんだよ!」


「いいから!ついてきて!」


私は教室にいた川上を連れ出して、勇征に教えてもらった空き教室に向かった。


コンコンコン——


「失礼します!」


教室の扉を開けると、中にいたのは1人だけだった。


「おー大我!どうした珍しい」


「っス……」


「はじめまして!2年B組の佐々木一花です。あなたが総代の武藤圭哉さんですか?」


「うん。俺が強くて優しくてイケメンな噂の総代・武藤圭哉だよ」


鳳仙の総代は、なんというか、とてもヤンキーのトップには見えない。
近所の優しいお兄ちゃんみたいな人だった。


「今日はお話があってきました!」


この後の言葉を口にしたら、もうなかったことにはできない。
川上の静止を振り切って、大きく息を吸う。


「実は私、川上くんとお付き合いしてるんです!」