転校したらヤンキーに愛されまくった件

「多分大我は、一花を巻き込めば危険に晒すと気づいてやめたんだと俺は思ってる。素直じゃないから絶対認めないだろうけどね」


そんな他人思いで不器用なヤンキー、日本中探しても川上くらいなんじゃないかと思う。


「そういえばアイツ、自分のせいで仲間が傷つくのは嫌だ、だから総代になるって言ってた……」


「あ〜それは……中学の時大我のせいで怪我した人がいるんだ」


「え……?」


「って、大我自身は思い込んでる」


「じゃあ本当は……!」


「もちろんアイツのせいじゃないし、その人も大我のせいだなんて思ってない。でもずっと自分のせいだと思ってる。あぁ見えて責任感強いんだよ」


それから川上はこの鳳仙に入り、トップになることだけを目指してきたらしい。
実力、信頼共に申し分なく、次の総代は川上で決まったものの、現総代の圭哉さんが突然「女を作れ、じゃないと総代は譲らない」と言い出して、私の転校初日に繋がる。


「アイツ一度言い出したら聞かないからさ。なんとしても圭哉さんを説得する気だろうけど……圭哉さんは大我以上に頑固だから、難しいだろうな〜」


もし私が川上のお願いを断らなかったら、なんの問題もなかったんだ。


「ごめんごめん!一花は何も悪くないから!ちょっと喋りすぎたかな。大我にドヤされそう」


「勇征!」


「ど、どうした」


私が勢いよく立ち上がったから、勇征はビクッとしていた。


「総代の圭哉さんって、3年何組?どこに行けば会えるかな?」


「圭哉さんはC組。大体いつも教室じゃなくて、幹部がよく集まってる空き教室の方にいると思うけど……」


「分かった!ありがとう!」


後ろから勇征が何か言っていたけど、聞こえないフリをして私は図書室を飛び出した。