「ただいま」
「おかえりなさいっ!」
「……眠れなかったのか?」
「あっ」
瑠花は慌てて不細工な顔を隠そうとしたが、蓮に抱きしめられて隠す必要がなくなる。
ドクンドクンという心音と、蓮の温かい腕の中で瑠花はようやく緊張がとけた気がした。
お風呂や食事がひと段落ついた蓮とソファーに座った瑠花は、凛から送られてきた写真を見せる。
蓮も送られてきたと瑠花にスマホ画面を見せてくれた。
「火曜は自転車に乗った高校生が大きなカメラを持った女とぶつかりそうになって転んで、応急処置した」
「えっ? 会社の前で?」
「足を捻挫かヒビか、折れてはいなかったけれど。鞄に入っていた縦長の手帳をコンビニの袋で固定して家の人に迎えにきてもらえって」
……あれ? 待って。
『自転車で転んだ高校生の足を応急処置してあげて、選挙カーで家まで送って行ってあげたそうですよ』
『すばらしい方ですね、大久間さん。さすがですね』
偶然?
テレビで見たシチュエーションに似ていると思うのは気のせい?
「その大きなカメラを持った女の人って」
「ぶつかってすぐ、高校生を放置して選挙カーの写真を撮っていた」
「……その女の人がこの写真を……?」
「可能性はあるな」
なんで?
どういうこと?
暴漢犯は松岡。選挙に出ているのは大久間。写真を撮っていた女の人は誰?
探せばすぐ出てくると思うけれど、大久間の応急処置のニュース記事を連に見せるわけにもいかないし。
「……瑠花」
うーん、うーんと悩んでしまった瑠花の手を蓮がそっと握る。
「一緒に昼寝しよう」
いろいろ調べて考えなくてはいけないのに、そんな破壊力満点な笑顔で一緒に寝ようはズルいでしょう?
当然逆らえるわけもなく、昨日眠れなかったこともあり、瑠花は蓮の腕の中で愛されながら眠ってしまった。
瑠花が目を覚ましたのは昼過ぎ。
「おはよう、瑠花」
寝ぼけたまま蓮に擦り寄った瑠花は、優しい声でいっきに目が覚めた。
「あっ、ごめ、私」
しまった! 寝不足だからって蓮よりも長く寝てしまうなんて!
ワタワタする瑠花を笑いながら蓮は抱き寄せる。
たくましすぎる胸板も、この腹筋もズルい!
温かくて優しくて、こんなの顔が真っ赤になるに決まっているでしょう?
「すぐお昼ご飯の支度を」
「もう少し、このまま」
色気のある声も反則!
でも逆らえない。
瑠花は魂が抜けたまま蓮にくっつき続けた。
ペロンと鳴ったスマホに蓮は長い腕を伸ばし、手に取る。
メッセージを確認すると溜息をついた。
「姉さんがここにくるって。義兄さんも」
服を着ないといけないと蓮は気怠そうに起き上がる。
『30分待って』
『(承知のスタンプ)』
相変わらずの独特なスタンプに蓮は肩をすくめた。
シャワーを浴びて着替えた頃にタイミングよく凛と正臣がやってくる。
おいしそうなケーキを持って来てくれた凛にお礼を言い、瑠花は緑茶とコーヒーを淹れた。
「……マズいわね」
スマホを見ていた凛が眉間にシワを寄せる。
「えぇっ! い、淹れ直しますっ」
お茶のことだと思った瑠花が立ち上がると、蓮に腕を引っ張られ瑠花はストンとソファーに戻された。
「あっ、ごめんごめん。別件の仕事の話。お茶は美味しい」
「紛らわしい言い方をするな」
溜息をつく正臣に凛は「そうね」と肩をすくめながら自分のスマホを正臣に手渡す。
凛のスマホを一瞬見た正臣は、そのまま何も言わずに凛の鞄にスマホを突っ込んだ。
「おかえりなさいっ!」
「……眠れなかったのか?」
「あっ」
瑠花は慌てて不細工な顔を隠そうとしたが、蓮に抱きしめられて隠す必要がなくなる。
ドクンドクンという心音と、蓮の温かい腕の中で瑠花はようやく緊張がとけた気がした。
お風呂や食事がひと段落ついた蓮とソファーに座った瑠花は、凛から送られてきた写真を見せる。
蓮も送られてきたと瑠花にスマホ画面を見せてくれた。
「火曜は自転車に乗った高校生が大きなカメラを持った女とぶつかりそうになって転んで、応急処置した」
「えっ? 会社の前で?」
「足を捻挫かヒビか、折れてはいなかったけれど。鞄に入っていた縦長の手帳をコンビニの袋で固定して家の人に迎えにきてもらえって」
……あれ? 待って。
『自転車で転んだ高校生の足を応急処置してあげて、選挙カーで家まで送って行ってあげたそうですよ』
『すばらしい方ですね、大久間さん。さすがですね』
偶然?
テレビで見たシチュエーションに似ていると思うのは気のせい?
「その大きなカメラを持った女の人って」
「ぶつかってすぐ、高校生を放置して選挙カーの写真を撮っていた」
「……その女の人がこの写真を……?」
「可能性はあるな」
なんで?
どういうこと?
暴漢犯は松岡。選挙に出ているのは大久間。写真を撮っていた女の人は誰?
探せばすぐ出てくると思うけれど、大久間の応急処置のニュース記事を連に見せるわけにもいかないし。
「……瑠花」
うーん、うーんと悩んでしまった瑠花の手を蓮がそっと握る。
「一緒に昼寝しよう」
いろいろ調べて考えなくてはいけないのに、そんな破壊力満点な笑顔で一緒に寝ようはズルいでしょう?
当然逆らえるわけもなく、昨日眠れなかったこともあり、瑠花は蓮の腕の中で愛されながら眠ってしまった。
瑠花が目を覚ましたのは昼過ぎ。
「おはよう、瑠花」
寝ぼけたまま蓮に擦り寄った瑠花は、優しい声でいっきに目が覚めた。
「あっ、ごめ、私」
しまった! 寝不足だからって蓮よりも長く寝てしまうなんて!
ワタワタする瑠花を笑いながら蓮は抱き寄せる。
たくましすぎる胸板も、この腹筋もズルい!
温かくて優しくて、こんなの顔が真っ赤になるに決まっているでしょう?
「すぐお昼ご飯の支度を」
「もう少し、このまま」
色気のある声も反則!
でも逆らえない。
瑠花は魂が抜けたまま蓮にくっつき続けた。
ペロンと鳴ったスマホに蓮は長い腕を伸ばし、手に取る。
メッセージを確認すると溜息をついた。
「姉さんがここにくるって。義兄さんも」
服を着ないといけないと蓮は気怠そうに起き上がる。
『30分待って』
『(承知のスタンプ)』
相変わらずの独特なスタンプに蓮は肩をすくめた。
シャワーを浴びて着替えた頃にタイミングよく凛と正臣がやってくる。
おいしそうなケーキを持って来てくれた凛にお礼を言い、瑠花は緑茶とコーヒーを淹れた。
「……マズいわね」
スマホを見ていた凛が眉間にシワを寄せる。
「えぇっ! い、淹れ直しますっ」
お茶のことだと思った瑠花が立ち上がると、蓮に腕を引っ張られ瑠花はストンとソファーに戻された。
「あっ、ごめんごめん。別件の仕事の話。お茶は美味しい」
「紛らわしい言い方をするな」
溜息をつく正臣に凛は「そうね」と肩をすくめながら自分のスマホを正臣に手渡す。
凛のスマホを一瞬見た正臣は、そのまま何も言わずに凛の鞄にスマホを突っ込んだ。



