スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~

 瑠花は洗濯物を抱えてベランダから部屋の中に。
 すぐにカーテンを閉め、洗濯物はとりあえずソファーの上に無造作に置いた。

『あの場にいたってことですか?』
『探せって命令されたらしいの。だから別の誰かが撮った写真だと思う』
 ペロンという音と共に画面に出たのは蓮と自分の写真。

 会社の前で駅の方向に歩いて行く写真だ。
 前に芽依が50歳くらいの人に写真を見せられたと言っていたのはこの写真のことだろう。
 蓮は私を、私は蓮を見ながら何か話をしていそうな雰囲気。

 この服を着ていたのは、ルームウエアを買った日……?
 瑠花は壁にかかったカレンダーで確認する。
 蓮が休みで、熱を出す前……。

『火曜日に撮られたんだと思います』
『火曜ね。蓮が帰ってきたら心当たりがないか聞いておいて』
『わかりました』
 瑠花は大きく息を吐きながらスマホをポケットにしまった。

 タオルを広げ、角を合わせて畳んでいく。
 火曜に写真が撮られて、水曜と木曜に熱で会社を休んだけれど、もし休んでいなかったら……?
 ぶるっと震える身体を瑠花は両手で包み込む。
 木曜に解雇だと言われなかったら金曜に会社に行って、社員だとバレて。
 金曜は蓮が仕事だったから帰りは凛さんの迎え。
 もし声をかけられたら……?
 会社を解雇されたことはショックだったが、もう怖くて通えない。
 今となっては解雇されてよかったのかもしれない。

「……蓮さん」
 早く帰って来て。
 瑠花はもう何もする気になれず、夕飯も食べずにベッドにうずくまった。


 翌朝は寝不足だった。
 ベッドにはいたけれど寝た気にはなれず、瑠花は五時には布団から出て蓮の朝食を作り始めた。
 帰ってくるのは九時過ぎだからまだ四時間もあるけれど。
 何かをしていないと落ち着かなくて床拭きしたり、本棚の本を揃えたり。
 何度も時計を確認したが、なかなか時間は進まなかった。