スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~

『変なおじさんが、るっちゃんの写真見せながら、この子知ってる? って声かけてきた。今日休みでよかった』
「……凛さん……」
「どうしたの?」
 瑠花は芽依からのメッセージを凛に見せる。

「おじさん? どんな?」
 瑠花が芽依にメッセージを返信すると返事はすぐに帰ってきた。

『50歳くらいかな』
『知りませんって逃げたけどね』
『みんなに声かけていたよ』
 次々に送られてくるメッセージを瑠花と凛は目で追う。

「誰かしら。暴漢犯は20代だったわよね?」
「はい。50歳には見えないです」
 誰だろう? なんで私の写真を持っているんだろう?

『どんな写真?』
『ほぼ後ろ姿。会社の前から駅の方、彼も写ってた』
 蓮さんが迎えに来てくれた日に撮られたんだ。
 なんで?

「明日も休みましょう」
 体調不良ってことにすればいいと言われた瑠花は、素直にそうしますと頷いた。


 翌日もまだ微熱が続いていたので罪悪感を持つことなく、瑠花は会社に休むことを伝えた。

 仕事から帰ってきた蓮に添い寝をしてもらいながらウトウトし、昼過ぎにようやく平熱に。
 マンションの下にあるスーパーへ蓮が買い物に行っている間に瑠花はシャワーへ。
 髪を軽く乾かし、リビングに戻ると瑠花のスマホが鳴っていた。

「……部長から?」
 部長の電話は体調を心配する電話かと思ったが、そうではなかった。
 解雇予告手当を支給するから退職してほしいと。

「なぜですか……?」
 昨日と今日は熱で会社を休んだが、勤務態度は悪くなかったはずなのに。
 一方的な解雇連絡に瑠花のスマホを持つ手は震えた。

『すまないね。昨日も今日も探偵と名乗る男たちが会社の前をうろついていて。弊社の社員ではないと人事が言ったんだが……』
「男たち?」
『最低三人はいるようだ。一体何をしたんだい?』
「……何も心当たりはなくて……」
『とにかく、もう決定してしまったんだ。すまないね』
 荷物は段ボールに詰めて送るから取りに来なくていい、従業員証は返信用封筒を入れておくから送り返してくれ。
 瑠花は一方的に言われる部長の説明を涙を堪えながら聞き続けた。
 通話を切った途端、瑠花の嗚咽は止まらない。

「……なんで……」
 ずっと仕事を頑張ってきたのに、こんなふうに終わりにされるなんて。
 探偵ってなんで?
 どうして私を探しているの?
 初めて特集記事を任されたのに。

「解雇なんて……」
 瑠花は床にへたり込んだまま泣き続けた。