スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~

 瑠花の首筋に冷却シートを貼りながら、蓮はごめんと謝罪した。

 瑠花の熱は37.9℃。
 ふらふらになるほどの高熱ではないが、これから上がるかもしれない。

「姉さんに頼んでおくから無理しないように」
 会社は休むんだよと念を押された瑠花は頷いた。
 昨晩、おそろいのルームウェアを着たらそういう雰囲気になり、盛り上がりすぎて服も着ないで寝落ちしましたなんて、恥ずかしくて凛には言えない。

「いってらっしゃい」
「あぁ。行ってくる」
 蓮は瑠花のおでこにキスをすると、仕事に出掛けて行った。

 会社に体調不良の連絡をし、プリンを食べてから風邪薬を飲む。
 瑠花は布団に入るとまたすぐに眠ってしまった。

「あらやだ、熱があがってるわ」
 新しい冷却シートをおでこに貼られた瑠花は、冷たさで目が覚めた。

「……凛さん?」
「あ、起こしちゃったわね」
 ごめんねと言いながら凛は遠慮なくもう一枚首筋に貼る。

「お水飲む?」
 優しく聞かれた瑠花は首を小さく横に振った。

「仕事……」
「もう夜よ」
 凛のスマホのデジタル時計は18:25。
 会社に電話したのは8:10だったはずなのに、10時間も眠っていたようだ。

「スマホ見る?」
 自分のスマホを手渡された瑠花は、メッセージを確認した。

 蓮の『熱下がったか?』のメッセージに『まだだけど凛さん来てくれたよ』と返信する。
 『スイカもらったから取りに来て』という祖母には『週末行くね』と返事を送った。
 凛からも何件かメッセージをもらっていたが、寝ていて気づかなかった。
 行きつけの美容院の来月の営業カレンダーや音楽サイトのDMも届いている。

「……芽依?」
 連絡先交換はしているが、普段個人スマホになんて連絡してこない同期の芽依の名前に瑠花は驚いた。