日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

「お前も今日は来たんだな。琥珀」


隆火さんが琥珀を見つめる。
琥珀は暗い色の髪を整髪剤でセットしていて、耳には大量のピアスがある。

琥珀は隆火さんをギラギラとした目で見つめ返し、


「当然だ。二年にしちゃ多少強いってんで、番長を狙うだなんてほざいてるらしいが、番長は三年の舞台ってことをわからせてやる」


声、表情、立ち姿の全てが敵意と威風に満ちていた。


「ふん、三年がなんだと言っている間に俺が番長の座を貰ってやる」


しばらく二人が相対していると……


「あはっ、じゃあ体育祭のトロフィーは僕が貰うねっ」


琥珀の斜め横から突然白い髪の目黒が出てきた。


「はあ〜?横からふざけたこと抜かすなお前も当然潰してやるよ!ふざけた髪色のお前はすぐに見つけられっからいつでも潰せるぞ」


琥珀がまくし立てるように怒る。すると


「ふざけた髪色?父さん譲りの地毛なんだけど、父さんを馬鹿にしているの?」


目黒は琥珀にナイフを差し向けた。手に持ったナイフにはおもちゃとは思えない真実味のある光沢があった。
大きく開いた黒い目には光が入り込まず、完全な黒点のようだった。


「僕の家は京浜目黒組(けいひんめぐろぐみ)っていう建設会社を代々経営していて、父さんはその社長なんだ」


父譲りの白髪をした目黒が父のことを語り始めた。