日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

「琥珀はもちろん、目黒 大太(めぐろ だいた)も無視できない……どちらから倒すか、あるいは二人同時の可能性もあるね」


真木さんはメガネのふちを持ち上げ険しい顔になる。


そこでみんなのスマホに通知が入る。


「隆火が到着したみたいだ」


一足早くスマホを開いた真木さんが言う。
私たちは揃って隆火さんのテントに向かった。


「うわー真っ赤だ。めちゃくちゃアウェイじゃん」


茶橋さんが肩を窄めてクラスTの赤に染まったこの場所を見回す。


「茶橋は案の定ビビってんなぁ。俺らは四人で来ている。赤テント、みんなで通れば怖くない」


「ふふっ、いいこと言うね」


高木さんは茶橋さんに同情を寄せず、真木さんは先導しながら笑っていた。


隆火さんのクラスのテントに着くと、隆火さんは来たばかりと言う感じでカバンを持っていた。テントには先に岡島さんが待っていて、「隆火、おはよう」とあいさつする。


続いて真木さんが、そして私たち一年も「おはようございます」「まっす!」と挨拶する。


「お前たち、おはよう。全員揃っているようで感心だ」


隆火さんはいつもの無愛想な顔で腕を組んでいた。



「よく来たな、久辺 隆火」


後ろから低い声が聞こえた。
そちらを向いていた隆火さん以外の私たちは一斉に振り向く。