日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

彼と話している内にぽつぽつ人が来ていたみたいで、テントには何人かの姿があった。ブルーシートの隅に荷物を置き、時間を潰すためスマホを取り出す。


「藤原さん」


隣のテントは茶橋さんと高木さんのクラスだったらしく、遊びに来ていた真木さんに声をかけられる。


「藤原さん、負けずに頑張って!」


茶橋さんが元気に応援してくれて、私は「はい、出来ることを頑張ります」と返す。


「もう風戯も勝手なマネはしないだろうけど、赤組には曲者がいっぱいおるからな……」


高木さんが呟くように言い、赤組の方のテントを見る。


「体育祭本番は琥珀も目黒も来ますよね」


「ああ、番長の座に近いやつらだ、体育祭には来るよ。琥珀が来たら騒ぎになるし、目黒は真っ白な髪だからわかるだろうね」


上目を向いて茶橋さんが聞くと、真木さんは真剣な顔で答える。


真っ白な髪って、そんなのあの人しかいない……私は知らない内に番長級のヤンキーと話していた。