日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

話が終わると隆火さんは軽木の方を見る。


「風戯、そんなことしてお前は楽になるのか? それでお前の顔は立つのか?」


硬く白い顔で目を見開き、低く重い声を発した。
思わず後退りしそうなほどの圧を感じ、周囲の人も恐れ慄く。


隆火さんの言葉であたりは静かになった。


「抵抗しない静凪に対して執拗な嫌がらせをしたうえ……転倒を八百長だと騒ぎ立てるのは、全力で戦った白組と円田たちへの侮辱だ」


軽木の行いについて言及する。私と白組、そして隆火さんを尊敬し遠慮せず戦えと言っていた円田さんを忘れなかった。


「……すみませんでした」


軽木は私の方に向き直って謝った。すんなりとは謝らないと思っていたから、武装を捨てたようにまっさらな彼の声に驚いた。


隆火さんが軽木の仲間たちを睨む。
軽木の仲間たちはバツが悪そうに謝った。


もうすぐ授業が終わる、と先生が解散させる。
こうして終わりの見えない嫌がらせと一触即発の騒ぎは隆火さんの登場によって消え失せた。