日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

「八百長だなんて体育祭にそんなことするはずがないだろう。そもそも円田をトップバッターからアンカーに変えたのも、バトンパスに苦手意識があるから先にやる障害物リレーで慣らしておきたいとみんなで話して決めたじゃないか」


赤組の先生が難癖をつけてきた彼に言い聞かせる。
その場では先生の話を大人しく聞き、私に謝罪もした。


しかし先生がいなくなった途端、強い敵意を込めた目を向けてきた。
次は何してくるかわからないので私は目を逸らす。


「うっわ、藤原さん風戯(ふぎ)に目つけれたんだ。大変だなあ……」


「風戯は潰し屋ともつるんでるからな。マジでしつこいぞ」


白組の第二レースのメンバーは難癖をつけてきた男子の話で持ちきりになる。


みんなの話によると、名前は軽木　風戯(かろき　ふぎ)、選抜リレーの補欠で、スタートがとても速いらしい。


潰し屋と呼ばれる友達がいて、体育祭の種目決めでも出たい種目がかぶった人を潰したという。


彼はどうして私に目をつけたのか。
私に何をしてほしいのか。どうしたらやめてくれるのか。絡んでくるのをやめてくれる気配がなく、厄介なことになった、と憂鬱になった。