日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

そんな、さっきの練習にはいなかったのに!ここで会うとは思わず硬直する。


「リレーの選手にも選ばれるようなあいつが転倒だって、不自然だなぁ。本当のところ、あれ八百長だろ?」


八百長だなんて、そもそも転倒した円田さんとはこれまで話したことがなかったし、先の練習での転倒は関係ない。どうして八百長だなんて言われなければいけないのか。


「八百長お嬢がでかい顔して歩いてんのが許せないんで、あいつの代わりに走ることにしたんだよ。親に甘やかされたお嬢さんに世間の厳しさを教えてやる」


獰猛に笑い、私の足元を目がけ砂をかけてきた。
靴の隙間に砂利が入り込む。


「八百長って……」


こちらのアンカーが困惑した様子で覗き込み、私は「そんなことしてません……!」と震える声で否定した。


「だよなぁ。おい、テメェんとこのアンカーが転倒したからってこっちに難癖つけんなよ」


こちらのアンカーが間に割って入る。


「へっ、白組のやつはみんな買収済みか。実家が太いだけのひ弱な女を庇うとかプライドねぇのかよ」


「は?わけわかんねぇこと言ってんなぁ」


相手は牽制されてもお構いなしに白組全体を侮辱し、相対したアンカーもだんだんと苛立ちが加速する。


やがてただごとでない空気を察した両組の先生がやってきて、私たち白組は事情を説明した。