日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

選抜リレーのメンバーからは腕を振って走るようアドバイスされ、もう一回走ってみる。すると逆にタイムが落ちた。


「腕を振ることを思い出すんですけど、腕も重くて、進んでいく感じがしなくて……」


「腕と足の動きがバラバラなのが原因かも」


真木さんも私の走りを見てスマホで調べながら考える。


それを踏まえて何度も練習を繰り返し、姿勢を修正していく。


「よし、今度は意識せず走って〜」


スマホを持ってゴールに立つ真木さんが呼びかける。私は何も意識せずに、目の前の一点を目指して走った。


「意識せずに走った?」


「はい、目の前の一点を見つめましたが、走り方とかは特に意識せず……」


「でもさっきよりも走り方がよくなってるし、やっぱり静凪さんは意識しない方が体が動くみたいだ。改善したいところは軽く走って動きを覚えて、本番走る時は無心になった方がいいみたいだね」


真木さんはそう話しながらスマホの画面と私を交互に見合わせる。