日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

隆火さんはおふざけなどではなく真剣に声を上げた。マイクを通した大声量はひらけた運動場でも全体に行き渡り、運動場にいる人の目を集めた。


「隆火に言われちゃ、応援隊の僕たちが頑張らないわけにはいかないよね」


腰に片手をつきながら、真木さんが観念したように言う。


「全力で来いって隆火さんが!」


「運動場の真ん前で言うとかヤベェ」


「手ぇ抜いたらしめられるとかありそう?」


覇気のない様子だった白組の生徒たちが騒然とする。
校舎の方へ帰っていく隆火さんを畏敬の眼差しで追い、そして……


「負けるとしても俺ガチで走ってみようかな」


「俺障害物リレーで隆火さんと一緒に走るねんけど。本気出さな」


他の人に本気でやれと言われてもやらないようなヤンキーたちが、隆火さんに言われた途端動き出す。

目の前に見える負けよりも隆火さんの言葉が大事。


これが強い人の影響力か。


隆火さんの言葉によって、私も本気を出さざるを得なくなっていた。