日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

運動場で指定の位置につく。審査員の席が私たちの前にあり、当日はここから見られる。


ここからだと人々が小さく見えるなと思った。


音楽が流れ始める。


共通のところは周りに人がいるから最悪間違えても目立たない。
問題は女子パート。


前に出て左から私、大平先輩、早乙女先輩の順に並ぶ。


ここまで来たら余計なことを考える余裕はない。体が覚えているのに任せて踊る。
ちょっと記憶が怪しくなったらチラッと横を見てそれに倣う。


女子パートが終わればまた移動があって自分のクラスの場所に戻る。するとみんなと同じように踊るだけだ。


ひらけた運動場では武道場の時よりも声が響かない。


男子のくぐもった低い声に、数少ない女子のよく通るけど高くて力の足りない声。


かけ声は審査で重要視されているのに弱かった。


練習終了後に団長がダンスよりもかけ声が課題だと言った。


あと一時間あるから戻ってからの練習はかけ声を意識しよう。そう思っていたら先生が、「次は運動場に残って競技練習だ〜」と呼びかける。


そういえば小中学校ではしっかりやっていた競技練習が全くなかったことに気付く。参加する種目は事前に決めていたけど、さすがにぶっつけ本番じゃなかった。