日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

練習が始まりしばらくすると休憩が入る。休憩中に担任の先生が様子を見に来て、「どうだ?」と私に声をかける。


「ごめんなさい、応援のダンスを覚えるのに精一杯でパネル制作の方には行けないかもしれません」


私は非常に苦しい思いをして言った。
本当ならパネル制作で私の力をアピールするはずだったのに。いや、私のダンスの下手さを見たら来年以降はやめておこうと思ってもらえるかも。


「いや気にしないでくれ。パネルの方も順調そうだし、クラスTもなんとかなりそうだから。応援に専念してくれたらいい」


申し訳なさそうな様子の私に、先生は気にするなとばかりに言った。


当然先生が見ている中でも上手くなることはない。
帰り際に先生が「大変だろうが藤原なら出来る。頑張ってくれ」と激励した。


本当に出来ないんですって、今すぐ変えてくださいよ、と心の中で懇願した。


それから曲を流しての練習になると曲のスピードについていけなかった。


そして昼休みになった。


教室に戻り、暑くて食欲もなく、苦しくて味もしない弁当を食べる。


教室では、真面目くんが頑張ってくれるからパネルは正直サボってるなんて声が聞こえる。
どうして私はこんな思いをしているんだろう。あっち側だったら今頃こんな……


「体育祭で役割があるって聞いて先生にクラスT制作じゃないと行かないって言ったし。座ってられるしバリ楽」


大園がそう言っているのを聞いてやるせなくなる。
私はそもそも体育祭に役割があるとも知らなかった。
こんなの言ったもん勝ちだ。