日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

それから、効率を上げるため、クラスの中でいくつかのグループに分けての指導が始まる。


ここからここの列はこの先輩から、とグループ分けが終わってから、団長が「藤原さん」と呼ぶ。


団長に手招きされて行くと


「ダンス中に女子だけのパートがあってね、今からこの三年生に指導してもらおうと思うんだ」


大平 眞凛(おおひら まりん)で〜す!」


団長の隣に立つのは、よくケアされた艶のある金髪を巻いている、背の高い先輩だった。見た目や声からしていかにも明るい人で、この体育祭の活動にも積極的そうだった。


「そしてこちらが一緒に練習する二年生の先輩。二年生だけど事前に練習して三年生並みに出来るようになってるんだよね」


黒々として無造作なセミロングの髪をしている。活発そうに開いたつり目で、唇は赤く、すごい美人だった。こんな人と並んで活動するなんて、と地味な私は気後れした。


早乙女 変身(さおとめ かみぃ)です。荒っぽい男子と一緒に練習なんてまっぴらごめんよね。そういうことで、グループ別練習は私たち三人でやることになったから。よろしくね」


声を発した早乙女先輩は芯の強い声をしていた。
こんな目立つ美人だからスクールカースト上位らしい性格をしているのかと思いきや、陽気というよりお堅い感じがした。


ヤンキーたちが騒ぐと、早乙女先輩は軽蔑するように横目で見ている。本当にヤンキー男子が嫌いなんだ。