日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

応援団でありながらパネル制作に意気込んでいると、高木さんが


「赤組は体育館にいるらしいぞ」


と茶橋さんに言い、


「俺らずっと武道場なんすか?」


と茶橋さんが不満げに言った。


「ううん、交代で体育館や運動場を使ったりするよ。でも白組はここでの練習が多いかな」


私が「手狭ですよね。生徒数が多くないとはいえ、全校生徒の半分近くがいるんですから」と言うと真木さんは


「そうだね。体育祭だけは出席するっていうやつも多いし」


と答える。
確かに普段見ない顔も見かけるけど、みんな体育祭は出席するんだ。制作の方の出席率が不安なのは、制作が嫌なのか?


応援団から私一人抜けても良さそうなのに。
今から制作の方に行かせてほしい。そう強く願った。


チャイムが鳴ると応援団長の召集がかかり、クラスごとに集まる。


まずは眼鏡をかけた背の高い団長の挨拶から始まった。


「僕が今年の白組の応援団長になりました。明石 太一郎(あかし たいちろう)です。よろしくお願いします」


明るい声で挨拶すると、ヤンキーな生徒たちは、うえぇーい!と囃し立てる。


それからダンスに使う音楽を発表し、三年生が最初に手本を見せることになった。


動画投稿SNSで何度も流れてくるような曲。私には馴染みのないノリだった。


一通り手本を見せたら次はクラスごとに分かれて練習することになる。
ダンスが出来るくらいに広がると狭いため、いくつかのクラスは外に移動。クラスごとに三年生が何人かついて指導する。


前に立った三年生の説明と手本を見て教わるのだ。