日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

「そういうところは静凪らしいな。俺の好きな減らず口だ」


隆火さんはもう片方の親指で私の唇に触れる。その顔はおだててもいないのに非常に満足げだった。


隆火さんの機嫌がなんだか急に良くなり、この手をなんとかしろとは言えなかった。
基本は下っ端だからあまり強く出過ぎても良くない。私も一度この辺で態度を戻そう。


「お気に召したなら何よりです。いや、わざわざ教室に伺ってはご迷惑かなと思ったんです。他にも隆火さんの強さを賞賛したい人がいるでしょうから」


「そういうことか。お前は機を見計らっていたんだな。しかし今回ばかりはお前が優先だ。何故ならお前が書いた挑戦状で、お前の分まで勝つつもりで戦ったんだからな」


掴んでいた手を離し、また得意げにお前が書いた挑戦状と言っている。
そういえば隆火さんが帰ってきた時、私は何か声をかけていただろうか。あまりの強さに言葉を失って、他の人が声をかける中に埋もれていた。


隆火さんなりに私のために戦ったのに。


「他に誰もいないぞ。さぁ、俺のことを褒めるんだ」


隆火さんが胸を張って私の言葉を待つ。