日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

隆火さんが三年生の不良グループを倒したという話は、次の日の学校に広まっていた。


番長の座を巡る戦いに二年生が名乗りを上げた、これで膠着した戦いが終わるのでは? 

また新しいやつが増えて番長が決まる日が遠のくのでは?

いやいや、一回三年生を倒しただけで琥珀さんに勝てるかはわからない。


校内の情勢は騒がしくなっていた。


隆火さんが強さを見せても疑われるとは、琥珀はどれほどの強さなのか。
琥珀のことは見たことないけど、隆火さんが琥珀に勝てるかと聞かれて、手放しでYESとは答えられない。


だけど隆火さんはいつか勝つと思っている。


もしも隆火さんが番長になったら、挑戦状を書いたのは何気にすごい思い出になる。不良高校に入らなかったら出来ない体験だ。


隆火さんはあの勝利をきっかけに番長級の相手と戦うことも示唆していたけど、その後音沙汰はない。


この先は相手が番長級だから慎重になっているのか、それとも私の役目は終わったのか。


ま、あんな経験一回で十分だ。
学校帰りのその足で公園のベンチに座ると、コンビニで買った飴の袋を開ける。

何気なくお菓子コーナーを見たら、禁断の花キャンディ、という新商品があって、普段飴なんて買わないんだけど、珍しいお菓子が大好きだからつい買ってしまった。

袋に手を突っ込んだ時、「静凪」と声をかけられ、「えっ」と声を上げる。