日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

私を連れてきた同級生が口を開き、

「隆火さん! こいつぶつかってきたりして生意気なんすよ! それでちょっとわからせてやりたくて」


「この女が? お前、名前は?」


「ふ、藤原 静凪(ふじわら せいな)と申します!よろしくお願いいたします!」


「隆火さんにはビビってるみたいすけど、俺に対してクソ生意気なんすよ。俺のことナメてんじゃねぇぞ!」


隆火さんに苦情を言った後、私の顔を覗き込むようにして声を荒げた。


生意気なやつだと思われたら、見せしめに何されるかわからない。早く事を収めなくては。


「この度はご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんでした!私の不徳の致すところです!」


「まあ謝ったから許してやるよ。今度やったら女でもぶん殴ってやる」


ぶつかった同級生はひとまず満足したように鼻を鳴らし、拳を振り下ろした。
話を聞かされる隆火さんは何も言わず微動だにしない。


「おおぞの〜、見逃してやれよ、女だろ」


「女といってもババアだしまともに歩けないんだろ。仕方ないよ」


周囲のヤンキーに口々に茶化され、私とぶつかった同級生の大園さんは「なんでこんなクソだせぇやつにぶつかられて我慢しなきゃいけねーんだよ!」と噴き上がる。


再び損ねた大園さんの機嫌を直すため、私はもう一度、「申し訳ございませんでした」と謝った。


すると、ずっと黙っていた隆火さんが、「なぜお前は謝った?」と聞いた。

「ご迷惑をおかけしたので、当然謝ったのです。態度が悪く……私がぶつかった後の態度がなっておらず、大園さんを傷付けてしまいました」