日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

隆火さんは集中した様子で筆を進め、私より早い時間で筆を置いた。


隆火さんの書いたものは本人の見かけによらずバランス、形、細かい筆運びまでも非常に整っていて、私が書いたものよりも上手かった。

これにはみんな無言で紙を見つめて愕然とする。

「隆火さん、字綺麗っすね」

茶橋さんががぽつんと感心する一方で私は

「は、ちょ、ちょっと、これが書けるのに、私より上手いのに、何で私に書かせたんですか!? こっちを使いましょうよ!」


「いや、俺は喧嘩を売るのは柄じゃないから代筆してもらう。それに女子の字の方が読みやすいし縁起もいいからいいのだ。勝利の神だって女だろう」


驚愕し詰め寄るも、隆火さんは謎の理屈を主張して聞かない。隆火さんの後ろ、私に見えるところで、隆火は頑固だから、と真木さんがもはや苦笑していた。