日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

「静凪が納得いっていない出来のものを使う訳にはいかない。やり直すんだ」


完成したのを見てぐちぐちと不満げな私に隆火さんは言った。

私は再度書き直し、

「ひらがなは小さく……これはちょっと長いかな……」

「急がなくてもいい、一文字終わったら一拍置くんだ。よし、次の書き順は一番上の横棒からだ」

字のバランスがあーだこーだ言いながら筆を進め、横から隆火さんが口を出しながら完成させた。


「こんなもんかな」

紙を両手で持ち上げて見る。

「お〜流石藤原さん」

茶橋さんが紙を覗き込んで言い、真木さんが「ありがとう、藤原さん」と振り向いて労ってくれる。
隆火さんも「いいぞ! これで三年生に戦いを申し込むことが出来る」と満足げに腕を組んでいた。

大事そうなものなのに自分ではやらないんだ……と私は気になって

「ところでその、自分では書かないんですか? 果たし状……」

「書かない。適任者が見つかったしな」

「ええ……自分のことなんですから自分で書いてみたらいいでしょうに……」

「そうだ隆火。墨も残ってるし折角だから自分でも書いてみたら?」

私と真木さんがすすめるのに押されて、隆火さんが筆をとった。