日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

次は三年生の不良グループと戦うと決まり、あれから何の音沙汰もなく穏やかに暮らしていた。


私は喧嘩には参加しないから隆火さんの報せを待つのみ。


そう思っていたら、二時間目の授業終わりに廊下を歩いていると、廊下をバタバタと走る音が聞こえて来る。


「静凪さん、いたっ!」

私を見つけ声を発した茶橋さんと、その後ろに隆火さん。

「書道で評判だって聞いたぞ! 今度の喧嘩の挑戦状を書いてくれ!」

隆火さんが面と向かって頼んできた。


確かに私は書道の授業で先生から褒められていて、一緒に授業を受けていた茶橋さんがそのことを話して、それが隆火さんの耳に伝わったらしい。


断る理由もないので、放課後活動室で挑戦状を書くことになった。

活動室に行くと、細筆と墨は用意されていた。中学と違って自分の書道セットを持ってきている訳じゃないから助かった。


例文を横に置いて見ながら書ける自信がない! と隆火さんに泣きついて紙の下に例文を置かせてもらい、ミスの許されない細筆一発書きを行う。それでも誤字による書き損じで幾多のやり直しを経て、一枚書き上げる。


慣れない細筆の文章となると、字のバランスはガタガタだった。そもそも私は字のバランスがいい方ではないし、書道の授業だって周りがヤンキーばかりで真面目にやってないからっていうのがあるし……


こんな出来なのに他の人たちが「いいじゃん」などと言うのが居た堪れなかった。