日本一のヤンキーは、私のことを守ると誓う

中は普通の教室の半分程度の広さで、二人は教室中央の木の机を一緒に使い、入り口に立つ私を見てこんにちはと会釈した。

二人は黒板と向かい合うかたちで座っていた。入り口に近い方に座っていたのは角刈りの男子。そして窓の方に座り私に声をかけたのは茶髪の男子。


この二人は一年の校舎で一緒に行動しているのをよく見かける。


「ここに来るの初めてですよね。俺は一年の茶橋 篤哉(さはし あつや)っす。よろしくお願いします〜」

茶髪の男子が名前を教えてくれる。それに続いてもう一人、

「自分は高木 孝一(たかぎ こういち)です。よろしくお願いします」

角刈りの男子が堅い印象の声で教えてくれた。

「あ、よろしくお願いいたします」


この高校でまともに話したのが久しぶりで硬直する。
それから私は同じ木の机の奥の方に座り、一息つく。

落ち着いてからさっきの二人の挨拶とそれに対する私の返事を思い出す。私はもう既に名前を知られている、か。でも名乗らないと失礼……そう思いながらもタイミングを失う。

そして最後に隆火さんがやってきて、揃っているな、始めるぞ、と黒板を背に机を囲んだ。

隆火さんが、みんな進級したが中々番長は決まらんな、と言うのに始まり、茶髪の男子の茶橋さんが、最近鷹原さんも強いらしいですと話を続ける。


最初の方は頑張って聞いていたけど、知らないヤンキーの名前が出てきたりしてなんだかわからなくなってきた。ひたすらヤンキーたちの話を聞かされて、スマホみちゃダメかなと思ってしまう。


私にわかる限りでは、隆火さんは番長になりたい、そして番長はまだ決まっていない、だからいま誰が強いかを語っているのだ。


しかし話に出たヤンキーのことを何も知らないし、それに対して意見なんか出せるわけがない。
何も言えないでいると隆火さんに話を振られる。

「お前、この学校で一番強いと思われるには何が必要だと思う?」