もっと、キミと



「え……あっ。え、えと……」


「ーーごめん。違ったら、今日はこのまま帰っていいから。ご飯も全部あげる」


そう言うと、彼は眉を下げテーブルを片付け始めた。


だめ、ここは勇気を出さないと。


「ち、違わない……!」


小さく消えそうな声でしか言えなかった。


緊張から、自分でも声が震えてることは分かった。


テーブルを片付ける彼が、手をピタリと止めた。


「……えと、それって」


「あ、あの。違わない、の……その、分かる……よね?」


もじもじとしながら直接的な言葉を言わないで済むように誤魔化した。


しかし、同じ気持ちだと分かった彼はニヤリと口角を上げた。


「んー……どうだろ。僕、鈍いからなぁ」


腕を組み、わざとらしく考えるポーズをする。


私が、告白しようとしたのが分かって先に言ったくせに。


鈍いわけがない。


でも、このまま逃げられるような状況ではない。


数秒間もごもごと口を動かした後、意を結した。


「わ、私ーー樹くんのことが」


『好きです』


やっと、言えた。


それなのに。


ドンドンドン、とタイミング悪く花火が打ち上がってしまった。


花火を見るのがメインイベントではあったけれど、この時ばかりは止まって欲しかった。


ーーでも。


好きな人と花火が見れるなんて、人生で初めてで奇跡のようだ。