「ーー美華ちゃん?」
あまりにもじっと見つめすぎたせいで、彼は不思議そうに首を傾げた。
「あ、あのね……私。樹くんに……えっと、その」
好きと伝えたい。
心の中では、何回も言えたのに。
いざ、この状況を前にすると緊張と吐き気と彼に拒絶されたらどうしようという絶望感から喉が拒絶しているように感じた。
浴衣の袖をぎゅっと握ると、手汗がじんわりと染みてシワになりそう。
ーーどうして。
どうして私はいつも、肝心な時に何も言えなくなっちゃうのっ……。
悔しくて、ぎゅっと奥歯を噛み締めるとギリッと歯が軋んだ。
「……美華ちゃん」
「……ごめんなさい」
意気地なしで。
俯きがちにそう言ったが、彼は「んーん」と言いながら首を横に振った。
「僕ーー美華ちゃんに伝えたいことがあるんだ」
「ーーへ?」
何を、言われるんだろう。
そう思い、顔を上げると真剣な顔をしている彼がいた。
顔がこわばっていて、そんな顔を見るのは珍しい。
「僕、図々しいと思うんだけどーー美華ちゃんと同じことが言いたかった気がするんだ。違ったらさ、とんでもない勘違い野郎で本当に恥ずかしいんだけど」
頬を赤らめ、視線をそらしながらパリパリと頬をかく樹くん。
それって、つまり……えぇっ?


