「んー。良い匂い。さっすが看護師さん。チョイスが良すぎる」
さっきまでのことが、まるでなかったかのように袋をガサガサと漁る彼。
袋からは、お茶、りんご飴、たこ焼き、焼きそば、ベビーカステラ、わたがしが出てきた。
「……本当は、一緒に中庭でやってる屋台に行って買いたかったんだけどね」
外を見ている彼の悲しそうな顔が、窓越しに映ってきゅっと締め付けられた。
「あっ。わ、私……買ってくるよ……!」
外はお祭り騒ぎで楽しそうなのに、それに行けないなんてきっと悲しい。
そう思い、真剣に言ったが樹くんがクスクスと笑い出した。
「ふは。ほんと美華ちゃんは良い子だね。食べ物がこんなにあったら十分すぎるよ。……僕は、ただ美華ちゃんと回りたかっただけだよ」
「う……」
また、そういうことを言う。
正直、いい加減はっきりさせないといけないと思っていた。
ーー今日は、夏祭り。
樹くんから、今日は面会の時間に制限がないということも聞いている。
今日は、自分の気持ちを整理させて彼へ気持ちを伝えるのにちょうど良い日。
いつも、ひょうきんなことを言う彼にーー今日、気持ちを伝えようと決めた。
彼に、好きだと告げよう。


