「カッコ悪くなんてない……! だって、私は」
コンコン。
初めて、恥ずかしさを行動で隠さず言えるはずだったのに、誰かのノックによって遮られてしまった。
「はーい?」
樹くんが返事をすると、扉が開きビニール袋を持った中年の看護師さんが入ってきた。
「佐倉くん、失礼するわね。あら、今日も彼女さん来てくれたの? いいわねぇ、若いって」
ニコニコと私達を茶化す看護婦さんに慌ててしまった。
「えっ……あ、えと……彼女とか……その」
歯切れの悪い言葉に、看護師さんが首を傾げた。
「そ。彼女。よく来てくれるんです」
え、えぇっ……!?
樹くん、そんなハッキリ……。
彼の言葉にドキドキしてると、看護婦さんの頬がぽっと赤く染まり、両頬を手で挟んでいた。
「あらあらぁ〜。それじゃあ、邪魔しちゃ悪いわねぇ。これ、頼まれてた物。ちゃんと二人分あるから! ごゆっくり」
ベッド脇のテーブルにビニール袋を置くと、香ばしいソースの香りがふわっと広がった。
小さく手を振られ、思わず振り返すとそそくさと病室から出て行ってしまった。
ーー気まずい。
あんなことを平然と言っちゃうなんて。


