「……はい、剥けたよ」
「おっ。美味しそう! あれ? この二つ……ウサギ?」
剥き終えたリンゴを皿に並べると、早速フォークを突き立てようとした樹くんがまじまじと見つめながら言った。
二個だけ、遊び心でウサギを作ってみた。
どんな反応をするのかとドキドキした。
「う、うん。どう……かな?」
「すごいね。器用! はい、これ美華ちゃんの分ね。いただきまーす!」
フォークを手渡すと同時に、自分の分のリンゴをフォークで刺す樹くん。
褒めてはくれたけれど、彼が食べたのは普通に剥いたリンゴだった。
やっぱり、普通に剥いた方が良かったかな。
そんなことを思いながら、私もリンゴを食べた。
「美味しい」
シャクシャクという歯応えとみずみずしさのある咀嚼音。
口いっぱいに広がる果汁と香り。
スーパーのちょっと高いリンゴだからかな。
いつもより、美味しい気がした。
二人で他愛無い話をしていると、リンゴはあっという間に残り二つになった。
ウサギを模して切ったものだ。
「ご、ごめんね。皮が付いてたら食べにくいよね。すぐ、剥き直すよ」
「え? 僕が食べていいの?」
再度皮を剥こうとしたら、彼がきょとんとした顔で言った。
もちろん、彼が食べて良いに決まってる。
彼の質問を不思議に思い、こてんと首を傾げた。


