「リンゴ持って来てくれたんだ。嬉しいなぁ」
もしかしたら、私の考えも見透かされているのかもしれない。
入院することになった日、帰り際に【美華ちゃんにリンゴとか剥いてもらいたかったな】と言われ、それに応えたいと思った事を。
「や……でも……ごめんなさい。潰れちゃってて……ほ、ほんとごめんなさい……! あ、でもビニールに入ってるから宿題は無事……!」
話をリンゴからすり替えようとカ鞄から宿題を取り出すが、彼は首を横に振った。
「まぁ、宿題は後にして。リンゴ。せっかく持って来てくれたんだから」
「えっ。で、でも……潰れちゃって」
「大丈夫大丈夫。ちょっと潰れてたって。お腹に入ったら一緒だから」
指をクイクイと動かして催促する彼。
気まずさから「う……」と声を漏らしながらもおずおずとリンゴを取り出した。
三つ買ったリンゴは、一つが潰れて果汁が袋の中で弾けてる。
もう一つは、一つ目ほどではないがヒビが入っている。
そして、三つ目は他のリンゴの果汁でべったりと汚れているだけ。
彼がじっとリンゴを見ていると、無事な三つ目のリンゴを発見された。


