「ははっ。ごめんごめん、冗談だよ。そかそか、美華ちゃんは僕を信じて待っててくれたんだよね。期待に応えられなくて、情けないなー」
話しているうちに天井の方を見て、乾いた笑みを浮かべた。
「そ、そんなことないよ……! 樹くんは、情けなくなんかないからっ」
「よし、前言撤回。美華ちゃんがそう思ってくれるなら、情けなくなんかない」
うんうん、と頷きながら自分に言い聞かせる樹くん。
よかった、いつもと同じだ。
「じゃあ、宿題貰って良い? 長居させるのも申し訳ないし」
「あ、う、うん! ごめんね、気がつかなくて。すぐに宿題……を」
もう少し話したかったけれど、気を遣わせてしまった。
鞄の中に入れた宿題を取り出すために、鞄を開けるととある事が発覚してサァッと血の気が引いた。
「美華ちゃん? どうしたの?」
ピクリとも動かなくなった私をきょとんと不思議そうに見る彼。
私が固まった原因のとある物を取り出した。
「……ごめんなさい。お見舞いの品にリンゴを持って来たんだけど、その」
鞄の中で出す事を戸惑わせているリンゴは、透明なビニール袋の中でグチャっと潰れて果汁が溢れていた。
リンゴの良い香りがするのだが、見た目は最悪だ。
きっと、病院に来るまでのバスの中で潰れたんだ。
ぎゅうぎゅうに人が乗っていたから。


