「ひ、久しぶり……」
話したい事はたくさんあるのに、彼の変わりようを見て言葉が出なくなった。
「ほんと、久しぶりだよね。すぐ退院できると思ってたのに。もう明日から夏休みかー」
壁にかけてあるカレンダーに今日の日付が大きく赤で囲まれて“終業式!”と大きく書いてある。
きっと、本当に今日までに退院するつもりでいてくれたのだろう。
「そう、だね。なんだか、長かったよ」
樹くんと一緒なら、短く感じられたかもしれないのにね。
とは、言えなかった。
「楽しみなことって、それまでが長く感じるもんね。まぁ、夏休みも僕にとっては長く感じちゃうんだけど」
私は、学校でのストレスがないから夏休みは好きだったな。
家で大人しくしていれば、誰かに何か言われることもないし。
と、心の中で呟いた。
彼の言葉にこくこくと頷いて話を聞いた。
「ていうか、やっと来てくれたよね」
「……へ?」
コロっと話題が変わり、ぷくっと頬を膨らませている彼。
「あっ、ご、ごめん……樹くんが、すぐ退院出来るって信じたら、行くのって迷惑かな……って。あっ、でも今日はね。宿題を届けに来て。その、間宮先生が急な職員会議って言ってて、その」
彼に誤解されたくない。
誤魔化すための言葉はスラスラと出てきた。
そんな私を彼はクスッと笑った。


