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お昼過ぎになると、日は高く、太陽が私の肌を焼こうと高い位置からジンジンと燃え盛っている。
学校から少し歩いた最寄りから病院前まではバスで来れたが、病院前から中へ入る数分の間にぶわっと汗が吹き出した。
先生から預かったプリントを渡しに来ただけ。
きっと、彼を待っているという約束が破られるわけではない。
一度しか来たことがないから、病室の場所が分からず看護師さんに確認をして五○三号室へやって来た。
大きく深呼吸をしてからコンコンコンとドアを叩くと「はーい?」と気だるげな声が聞こえた。
「た、樹くん……! 私……白鳥、です」
こういうシチュエーションがなかったから、変に敬語になってカミカミ。
ドアをスライドさせようとした時「ちょっと待って!」と大きな声で言われ、ビクッと肩が跳ね上がった。
やっぱり、来ちゃダメだったのかな。
きゅっと唇を噛み締めて一歩退いた瞬間。
「ごめんごめん。お待たせ、もう大丈夫だよー」
と、けろっとした声で言った。
よかった、と胸を撫で下ろした。
ガラッとドアを開けると、樹くんはベッドに座ってひらひらと手を振った。
笑顔だけはなにも変わってない。
ただ、夏に似合わないニット帽と二週間前より痩せてほっそりとコケた頬にはきゅっと胸が締め付けられた。


