「やっぱり可愛いな、美華ちゃん」
樹くんが、私の頭を撫でている。
少女漫画のような展開に、目を見開いてじっと彼を見つめた。
思考停止したのも束の間。
ここが通学路ということを思い出し、慌てた。
たまたま人がいないだけで、もしかしたら同級生が通るかもしれない。
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
「ひ、人が通るかもしれないからっ……」
「人が通らなかったら、続けても良いんだ?」
「そ、そうじゃなくて……その、えっと」
周囲の人にどう思われるか、考えるだけで不安な気持ちでいっぱいになる。
だけど、それを言葉で示すのは難しかった。
「ごめんごめん。意地悪しすぎた。焦って、気持ちばかり先走ってる」
「焦ってるって……?」
彼の言葉に、こてんと首を傾げた。
彼は、いつでも余裕たっぷりに見える。
そんな言葉が出るとは思わなかった。
「美華ちゃんと同じ教室にいられなくなるかも、って……実は、誰よりも心配なんだ」
「心配……?」
どうして、と言いそうになった。
でも、きっと。
ようやくできたクラスメイトがいなくなるのが寂しいって気持ちだけだろう。


