「どう? 強制ではないけど、僕は美華ちゃんって呼びたいな」
ニカッと太陽のような笑みを浮かべられると、心は簡単に揺らいだ。
「い、良いよ……」
「へへ、やった。美華ちゃん、美華ちゃん」
「な、何?」
早速二回も続けて呼ばれると、ドキドキが加速した。
「なーんもない」
なんて、イタズラな笑顔を浮かべられても許してしまうくらいに。
「美華ちゃん」
「今度はどうしたの?」
「僕のことも、名前で呼んでよ」
「え、えぇっ……!?」
今度は、冗談じゃなくて真面目な顔をしている。
ほ、本当に……?
私、男子を名前で呼んだことがない。
戸惑い、口をもごもごと動かしていると帰っている途中にもかかわず、ぴたりと足を止めた。
「美華ちゃん」
「う……た、樹……くん」
「ん? どうしたの、美華ちゃん」
意地悪な笑みを浮かべられ、何も言えず視線を逸らすしかなかった。
「ぶはっ」
不慣れな私の反応を見て、楽しそうにする彼。
う……やっぱりからかわれてたんだ。
そう思うと、胸がきゅっと締め付けられた。
しかし、ふわっと頭に温かい物が当たった。


