「ねぇ、せんせー」
閉ざされたカーテンをシャッと音を出して開けた。
「んー? どうしたの?」
ちょうど書類を書いているところだったので、手を動かしたまま返事だけした。
「ウチら、今度職業体験なんだけどぉ。どれが楽?」
「楽って……やりたいことすれば良いじゃない。興味のある仕事とかないの?」
「ないよー。てか、みんな電車の中暗すぎ。目、死んでんじゃん」
「分かるー。マジあんな大人になりたくねぇー」
ゲラゲラと楽しげに笑う二人。
二人の言葉がグサグサ私の心に刺さった。
私が、この仕事を選んだのは間宮先生に憧れたというのもあるけれど、一番は樹くんの夢を私が叶えたかったからだ。
多感な時期に、樹くんに出会って命を救われた。
間宮先生に出会ったことで、私の居場所があった事に気付けた。
「てか、先生はなんで先生になったのー?」
自分の将来を考える子達が純粋な目をして尋ねてきた。
私は、二人の方を見てニコッと笑った。
「私が先生になったのはね、」
私が先生になった経緯も、もしかしたら誰かの未来につながるかもしれない。
長くなるだろうけど、私の昔話を始めよう。
【完】


